クロールバジェットとは?小規模サイトで効くのはクロールデマンド
三橋竜彰・
クロールバジェットとは、検索エンジンが一定期間にサイトを取得する量のことで、サーバー側の上限と、取得しに来る動機の2つで決まります。
そして、小規模サイトで「クロールされない」と感じるとき、詰まっているのは上限のほうではありません。動機のほうです。ここを取り違えると、サーバーを速くしたりページ数を減らしたりといった、効かない方向に手を入れることになります。
この記事では、2つの要素を分けて説明し、自サイトがどちらで詰まっているかの見分け方を整理します。運営者はSEO検定1級・ウェブ解析士として、AIでサイト設計から記事作成・公開・分析までを自動化する仕組みを自作し、複数の自社サイトで運用しています。
クロールバジェットは何で決まりますか?
Googleは公式ドキュメントで、クロールの量を2つの要素で説明しています。
| 要素 | 意味 | 何で変わるか |
|---|---|---|
| クロール能力の上限 | サイトに負荷をかけずに取得できる量 | サーバーの応答速度・エラー率 |
| クロールの需要(デマンド) | そのサイトをどれだけ取得したいか | 更新の頻度・内容の価値・人気度 |
この2つは掛け算ではなく、低いほうが実際の取得量を決めます。サーバーがいくら速くても、取得したい動機が無ければ来ません。逆に動機があってもサーバーが遅ければ抑制されます。
Googleは、上限が問題になるのは主に数十万ページ規模のサイトであり、多くのサイトでは気にする必要がないと説明しています。個人ブログや数百ページ規模のサイトで取得が止まるとき、それはほぼ需要側の問題です。
小規模サイトで実際に起きるのはどちらですか?
需要側です。運営者の3サイトで観察された症状は、いずれも上限の不足では説明がつきませんでした。
すまほたっぷ(smaho-tap.com)では、新規公開を止めて既存記事の修正に集中したあと、再開した新規記事9本が約2か月半にわたり一度も取得されませんでした。同時期に、既存記事が再び取得されるまでの間隔も、およそ117時間から177時間、長いものでは345時間へと開いています。サーバーは同じ構成のままで、応答が遅くなったわけでも、エラーが増えたわけでもありません。サーバー側に何も変化がなくても、取得量は落ちます。
このとき投入した施策と結果は次のとおりです。
| 打ち手 | 結果 |
|---|---|
| サイトマップの再送信 | 取得の再開には結びつかず |
| IndexNowでの通知 | 同上 |
| Search Consoleでの登録リクエスト | 同上 |
| 内部リンクの追加 | 同上 |
| 外部からのリンク獲得 | 同上 |
| 低品質ページの削除(プルーニング) | 既存ページのクリック率は改善。新規の取得は変わらず |
取得が戻ったのは、週2〜3本の公開を淡々と続けたあとです。新規公開の再開から回復が始まるまで、およそ3か月かかりました。Search Consoleのカバレッジでは、登録ページ数が58まで漸減したあと、7月中旬までに72へ戻り(+13)、「検出 - インデックス未登録」も12から6へ半減しています。ただし、すべてが戻ったわけではなく、一部の記事は7月末時点でも一度も取得されていません。需要が縮んだあとで技術的な施策を投入しても戻らず、戻したのは供給を再開して続けたことでした。
自サイトがどちらで詰まっているかの見分け方
Search Consoleの「設定 > クロールの統計情報」で、次の3点を見ます。
- 1日あたりのクロールリクエスト数の推移:右肩下がりで、公開を止めた時期と重なっていれば需要側です。
- 平均応答時間:数百ミリ秒の範囲で安定していれば、上限側の問題ではありません。悪化しているならサーバー側を先に直します。
- ホストのステータス:エラーが継続していれば上限側です。問題なしなら需要側を疑います。
あわせて「ページ」レポートで、未登録のページが「検出」と「クロール済み」のどちらに分類されているかを確認します。「検出」側に偏っていれば需要の問題で、クロールが来ないときの対処に進みます。「クロール済み」側に偏っていれば取得はできているので、内容と重複の問題として扱います。
需要を増やすには何をすればいいですか?
需要は「このサイトは更新される」という学習の結果なので、動かせるレバーは限られています。
- 公開を止めない。最も効いたのはこれでした。頻度の決め方はブログの更新頻度はどれくらいが適切かに、続けること自体が難しい場合の選択肢はブログが続かない原因と、書かずに続ける仕組みの選び方にまとめています。
- 既存記事の修正だけに偏らせない。修正に集中した期間に新規の取得が止まったのが、すまほたっぷの経過です。
- 似た内容のページを増やさない。取得しても新しい情報が無い状態が続くと、動機は下がります。
- サーバーの応答を安定させる。上限側の余裕を確保する意味はありますが、これ単体で取得量は増えません。
逆に、期待しすぎないほうがよいものもあります。サイトマップ再送信・登録リクエスト・IndexNowは、需要が生きているうちなら促進材料になりますが、枯れたあとに投入しても戻す力はありませんでした。順序としては、供給を戻すのが先で、技術的な通知は補助です。
よくある質問
クロールバジェットとは何ですか?
検索エンジンが一定期間にサイトを取得する量のことです。サーバーに負荷をかけずに取得できる上限と、そのサイトを取得したいという需要の2要素で決まり、実際の取得量は低いほうに合わせられます。Googleは、上限が問題になるのは主に数十万ページ規模のサイトだと説明しています。
小規模サイトでもクロールバジェットを気にするべきですか?
上限としては気にする必要がほとんどありません。小規模サイトで取得が止まるとき、原因は上限の不足ではなく需要の低下であることが大半です。運営者のサイトでも、サーバー構成も応答速度も変えていない状態で取得量が落ち、公開を再開して継続したあとに戻りました。
クロールバジェットを増やすにはどうすればいいですか?
需要側を動かすことが中心になります。公開を止めない、既存記事の修正だけに偏らせない、似た内容のページを増やさない、という3点です。サーバーの応答を安定させることは上限側の余裕につながりますが、それだけで取得量が増えるわけではありません。
クロールの統計情報はどこで見られますか?
Search Consoleの「設定」から「クロールの統計情報」で確認できます。1日あたりのリクエスト数の推移、平均応答時間、ホストのステータスの3点を見ます。リクエスト数が公開を止めた時期と重なって落ちていれば需要側、応答時間の悪化やエラーの継続があれば上限側の問題です。
ページを削除すればクロールバジェットに余裕ができますか?
運営者のサイトでは、新規記事の取得再開には結びつきませんでした。低品質ページの削除は既存ページのクリック率の改善には効きましたが、取得されていなかった新規記事の状態は変わりませんでした。削除は評価の整理として有効でも、需要を戻す手段としては期待しないほうが安全です。
まとめ
クロールバジェットは上限と需要の2要素で決まり、実際の取得量は低いほうに合わせられます。小規模サイトで起きるのはほぼ需要側の低下で、サーバーやページ数に手を入れても動きません。Search Consoleのクロールの統計情報と「ページ」レポートの分類で、自サイトがどちら側かをまず確かめてください。需要を戻す手段として運営者の手元で効いたのは、公開を止めずに続けることだけでした。
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