エンティティSEOとは|AIに「同じ人・同じ組織」と認識させる実装
三橋竜彰・
エンティティSEOとは、キーワードという文字列ではなく、人・組織・製品などの「実体(エンティティ)」を単位に情報を整理し、検索エンジンやAIが同一の存在として辿れる状態をつくる取り組みです。この記事では、〈ヒトリデニ〉が実際に実装しているPersonとOrganizationの構造化データと、sameAsで紐付けている外部ページを、そのまま公開します。
抽象論になりやすい領域なので、定義は短くし、実物の構造を示す構成にしました。
エンティティSEOとは何ですか?
エンティティSEOとは、ページを語句の一致だけで評価してもらうのではなく、「誰が・どの組織が発信しているか」を機械が一意に識別できる形で提示するSEOの進め方です。
検索エンジンは、Webの情報を単語の集合としてだけでなく、実体とその関係のネットワークとしても保持しています。ここでいう実体とは、特定の人物・特定の組織・特定の資格のように、一意に指し示せる存在のことです。文字列としての名前は重複しますが、URLで指し示された実体は重複しません。表記を揃えるだけでは足りず、URL同士を結線する作業が必要になります。
エンティティSEOと従来のキーワードSEOは何が違いますか?
違いは最適化する単位です。キーワードSEOはページと検索語の対応を、エンティティSEOは発信者や対象の同一性を最適化します。両者は対立しません。
〈ヒトリデニ〉でも、記事単位では検索意図に沿った見出しと本文を書き、サイト単位では発信者の同一性を構造化データで示す二層で運用しています。キーワード側の手順はLLMO対策のやり方にまとめたので、この記事は発信者側だけを扱います。
なぜエンティティSEOがAI検索・LLMOで効くと考えられるのですか?
AI検索は回答の根拠として情報源を選ぶため、「誰が書いたか」を機械が辿れることが判断材料のひとつになると考えられるからです。
ここは断定できない領域です。各AIがどの信号をどれだけ重く見るかは公開されていません。ただし、著者ページも構造化データもない状態と、著者の実体が資格の認定ページや外部プロフィールへ結線されている状態を比べれば、後者のほうが検証できる材料は多くなります。効果が保証されているから実装するのではなく、検証できる状態を先に作るという前提で実装しています。AIに参照される経路はChatGPT・Perplexityに引用される方法で扱っています。
名寄せが機械的に成立する状態とは?
名寄せが機械的に成立する状態とは、サイト内外に散らばった発信者の情報が、ひとつのURLへ収束していることです。〈ヒトリデニ〉では次の3点で設計しています。
- 正規の著者ページを1つだけ持つ: 著者ページは
/author/[slug]の1枚のみで、紹介ページを複数作りません。 - 全記事のバイラインを集約する: 記事下部の著者情報も一覧のバイラインも、リンク先はすべて同じ著者ページです。
- 識別子を全ページで揃える: Personの
@id・url・sameAsは設定ファイル1か所から出力し、記事ページと著者ページで同じ値にしています。
3番目が要です。著者ページと記事ページで別々にPersonを書くと、同じ@idを共有していない限り、同一人物として統合される保証はありません。
〈ヒトリデニ〉のPerson JSON-LDはどう書いていますか?
著者ページで出力しているPersonの構造です。氏名や資格ページの実URLは伏せていますが、フィールド構成は実装そのままです。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Person",
"@id": "https://hitorideni.com/author/[slug]#person",
"name": "(運営者名)",
"url": "https://hitorideni.com/author/[slug]",
"image": {
"@type": "ImageObject",
"url": "https://hitorideni.com/authors/(写真ファイル)",
"caption": "(運営者名)"
},
"jobTitle": "SEO自動化システム開発者",
"description": "(プロフィール本文)",
"sameAs": ["(後述の外部プロフィール群)"],
"hasCredential": [
{
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"name": "SEO検定1級",
"credentialCategory": "certification",
"recognizedBy": { "@type": "Organization", "name": "一般社団法人全日本SEO協会" },
"url": "https://www.ajsa-seo.org/(SEO検定1級の合格者ページ)"
},
{
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"name": "ウェブマスター検定1級",
"credentialCategory": "certification",
"recognizedBy": { "@type": "Organization", "name": "一般社団法人全日本SEO協会" },
"url": "https://www.ajsa-seo.org/(ウェブマスター検定1級の合格者ページ)"
},
{
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"name": "ウェブ解析士",
"credentialCategory": "certification",
"recognizedBy": { "@type": "Organization", "name": "一般社団法人ウェブ解析士協会" },
"url": "https://membership.waca.or.jp/profile/(会員プロフィール)"
}
],
"knowsAbout": ["SEO", "LLMO", "AIO", "アクセス解析", "GA4", "Microsoft Clarity"],
"worksFor": { "@type": "Organization", "name": "ヒトリデニ", "url": "https://hitorideni.com" }
}
意図は3つです。@idにフラグメント付きの固定URLを与えて実体の識別子とすること、hasCredentialで資格を名乗りではなく認定団体と検証ページ付きの項目として書くこと、knowsAboutで専門領域を明示することです。
記事ページのauthorは同じ識別子を参照します
記事ページのArticle構造化データでは、著者を定義し直さず、著者ページと同じ@idを持つPersonとして書いています。
"author": {
"@type": "Person",
"@id": "https://hitorideni.com/author/[slug]#person",
"name": "(運営者名)",
"url": "https://hitorideni.com/author/[slug]",
"sameAs": ["(著者ページと同一の配列)"]
}
@idが一致していれば、記事側と著者ページ側の記述は同じノードへの情報として扱われます。値は1か所で管理しているため、記事が増えてもぶれません。
sameAsには何を紐付けていますか?
sameAsは「この実体は、これらのURLでも同じ人物として存在する」と宣言するプロパティです。〈ヒトリデニ〉では次の7件を入れています。
- noteのプロフィール: 運営者が継続的に発信している外部アカウントです。
- 全日本SEO協会のSEO検定1級 合格者ページ: 資格の第三者による検証先です。
- 全日本SEO協会のウェブマスター検定1級のページ: SEO検定1級とは別の認定で、URLも別ページです。
- ウェブ解析士協会(WACA)のプロフィール: 会員として掲載されているページです。
- 他サイトの著者ページ3件: 自社サイトA・自社サイトB・自社サイトCの著者ページで、いずれも同じ人物のプロフィールです。
SEO検定1級とウェブマスター検定1級は別の認定・別URLなので、どちらか一方のURLで両方を示すことはできません。なお、sameAsに自サイト内のURLは入れていません。サイト内での位置はurlと@idが示しており、sameAsは外部の同一実体を指すために使っています。
Organizationの構造化データはどう書いていますか?
Organizationは全ページ共通のレイアウトで出力し、サイト名・URL・サイト説明の3項目だけを持たせています。あわせてWebSiteでサイト名・URL・言語(ja)を宣言し、記事のArticleはpublisherでこのOrganizationを参照します。
項目を絞っているのは、裏取りできる情報だけを書く方針だからです。運用していないSNSアカウントを足しても、名寄せの助けにはなりません。AI向けのサイト案内はllms.txtとは?書き方と設置方法の実装が担っています。
エンティティSEOで注意していることは?
運用の中で決めているルールは4つです。
@idを後から変えない: 識別子が変わると、他サイトから参照している結線が切れます。変える場合は参照側も同時に更新します。- 名前と肩書を1か所で管理する: 表示名・肩書・プロフィール文は設定ファイルから出力し、ページごとの表記ゆれを作りません。
- 検証できる資格だけを書く: 第三者が確認できるページのある3資格に限定し、認定団体名も正式名称で書いています。
- 外部プロフィールも揃える: 片方だけ古い肩書のままだと、同一性の手がかりが弱まります。
エンティティSEOは一度で終わる作業ではなく、サイトや外部プロフィールが増えるたびに結線を足す運用です。全体像での位置づけはLLMOとは?AI時代の検索最適化 完全ガイドをご覧ください。
よくある質問
エンティティSEOとは何ですか?
人・組織・製品などの実体を単位に情報を整理し、検索エンジンやAIが同一の存在として辿れる状態をつくる取り組みです。名前の表記を揃えるだけでは足りず、著者ページのURLを正規の識別子として定め、外部のプロフィールや資格の検証ページとURL同士を結線する作業が中心になります。
エンティティSEOは個人サイトでも意味がありますか?
個人サイトほど発信者の同一性が手がかりになります。手間がかかるのは著者ページを1枚作り、Personの構造化データを出力する部分だけで、あとは既存の外部プロフィールをsameAsで結ぶだけです。複数サイトを運営している場合は、各サイトの著者ページを相互に参照させるところまで一度に整えると効率的です。
sameAsには何を入れればよいですか?
同じ人物・同じ組織であることを第三者が確認できる外部URLです。当サイトではnoteのプロフィール、資格の認定団体による検証ページ、運営者が持つ他サイトの著者ページを入れています。自サイト内のURLはurlと@idで示すため、sameAsには含めていません。
エンティティSEOをやればAIに引用されますか?
引用を保証するものではありません。各AIがどの信号をどれだけ重視するかは公開されておらず、断定できる根拠はありません。ただし、著者の実体が検証可能なURLへ結線されている状態は、そうでない状態より判断材料が多いという前提で実装しています。
Person構造化データはどのページに書きますか?
著者ページに完全な形で1つ書き、記事ページのArticleでは同じ@idを持つPersonとして参照するのが基本です。ページごとに独立したPersonを書くと、機械から見て同名の別ノードが複数ある状態になりかねません。@idと値を1か所で管理すると、記事が増えても一致を保てます。