LLMO・AIO対策のツール|何が測れて、何は測れないのか
三橋竜彰・
LLMO対策のツールを探し始めると、機能の一覧を見比べる前に「そもそもこの領域は何が測れるのか」で立ち止まります。測りたいものと、ツールが測れるものが一致していないためです。この記事では、機械的に判定できる範囲と、手で埋めるしかない範囲を切り分けて整理します。
LLMO・AIO対策のツールは何を代わりにやってくれますか?
LLMO・AIO対策のツールが代わりにやってくれるのは、機械が判定できる項目の点検です。ページがAIのクローラーに読める状態かどうか、構造化データの書き方が仕様どおりかどうかといった項目は、答えが一意に決まるため、目視で確認するよりツールに任せたほうが速く済みます。
いっぽうで、ChatGPTやAI Overviewの回答の中に自社が引用されたかどうかは、同じようには扱えません。LLMOツール選びは、機械が判定できる領域と、人が手で埋めるしかない領域を分けるところから始まります。
なお「LLMOツール」「AIOツール」「AIO対策ツール」は、実際にはほとんど同じ領域を指して使われている言葉です。呼び方そのものの違いはLLMO・AIO・GEOの違いで整理しています。
ツールで機械的に測れるものは何ですか?
ツールで機械的に測れるのは、正解や基準がはっきり決まっている項目です。代表的なものは次の4つに整理できます。
クローラーの許可状況はどう確認しますか?
AIのクローラーが自社サイトにアクセスできる状態かどうかは、robots.txtの記述とサーバーの応答を見れば判定できます。どのクローラーを通してどれを止めるかという判断はGPTBotの許可・拒否設定で扱っています。
構造化データの妥当性はツールで判定できますか?
構造化データは仕様が公開されているため、書式が正しいかどうかは検証ツールで判定できます。ただし判定できるのは書式の妥当性までで、書かれた内容がページの実態と合っているかまでは機械には判断できません。
サイト内の構造はどこまで見えますか?
見出しの階層、内部リンクのつながり、重複ページの発生といったサイト内部の構造は、クロール系のツールで一覧化できます。ページ数が数十を超えると目視では追えない領域です。
被リンクと検索順位は測れますか?
外部からのリンクと検索結果での掲載順位は、以前から多くのSEOツールが取得している指標です。取得元や更新頻度はツールごとに異なりますが、時系列の数値として追える点は共通しています。
ツールでは測りにくいものは何ですか?
ツールで測りにくいのは、AIの回答の中で自社が引用されたかどうか、それがどのくらいの頻度で起きているか、どういう文脈で触れられているか、という3点です。LLMO対策で本当に知りたい指標ほど、機械的には取りにくい領域に集まっています。
なぜAIの回答内の引用は取りにくいのですか?
理由は3つあります。1つめは、AIの回答が同じ質問でも毎回同じにならないことです。言い回しも挙げられる参照先も揺れるため、1回の観測結果をそのまま指標としては扱えません。
2つめは、回答がパーソナライズされることです。誰がどんな文脈で聞いたかによって内容が変わりうるため、ある環境で引用されていたからといって、他の環境でも同じとは限りません。
3つめは、AIの回答に含まれた参照先を一覧で取得できる公開APIが用意されていないことです。検索順位のように誰でも同じ条件で取得できる仕組みがないため、引用の観測は原理的に難しくなります。これはどのツールでも取りにくい領域であって、特定の製品ができていないという話ではありません。
取りにくい領域はどう埋めればよいですか?
現実的な方法は、定点質問を決めて、定期的に同じ問いを同じ条件で投げ、自社が引用されたかどうかを記録していくやり方です。大事なのは、質問の文面と実行の頻度を変えないことです。回答が揺れる前提に立てば、1回ごとの結果より記録がたまったあとの傾向のほうが意味を持ちます。運営者も、自社で運用しているsmaho-tap.comについて、この方式でAI Overviewに引用されたかどうかを記録してきました。
引用されたかどうかの確認手順はChatGPT・Perplexityに引用される方法で、記録を続ける仕組みの作り方はLLMO対策のやり方で扱っています。
サーチコンソールとアナリティクスは何を教えてくれますか?
サーチコンソールが教えてくれるのは、検索結果でのクエリ、表示回数、クリック、インデックスの状況です。ページがそもそも認識されているかは確かめられますが、AIの回答の中で引用されたかどうかは、ここには表れません。
アナリティクスが教えてくれるのは、サイトに来た人の流入元とサイト内での行動です。AI検索サービスからの参照が流入元として記録されれば、そこは判別できます。ただし引用されても誰もリンクをたどらなかった場合、アナリティクスには何も残りません。
どのツールから手をつければよいですか?
最初にやるべきなのは、ツールを増やすことではなく、いまのサイトが機械的な項目をどこまで満たしているかを把握することです。ここが抜けたまま引用の観測だけを始めても、打ち手にはつながりません。
自分で確認する順序はLLMO診断のやり方にまとめた6項目のチェックが出発点になります。そこで手が足りない項目が出てきた時点で、はじめてツールを足すという順番が無理のない進め方です。
〈ヒトリデニ〉では、機械に任せられる点検は自動化し、手で埋めるしかない部分は頻度を決めて回す、という切り分けでサイトを運用しています。ツールは判断を代わりにしてくれるものではなく、判断に必要な材料をそろえる道具だと考えると、選ぶ基準も決めやすくなります。
よくある質問
LLMOツールとAIO対策ツールは違うものですか?
呼び方の違いで、指している領域はほぼ同じです。ツールが備える機能も、クローラーの許可状況の確認、構造化データの検証、サイト内構造の把握といった共通の項目が中心になります。名前の違いでツールを選び分ける必要はありません。
無料のツールだけでもLLMO対策はできますか?
機械的に測れる項目については、無料で使える範囲でもかなりの部分が確認できます。robots.txtの記述確認、構造化データの検証、サーチコンソールでのインデックス状況の確認は、いずれも無料で行えます。有料ツールが効いてくるのは、ページ数が増えて手作業では追えなくなったときです。
AIの回答に引用されたかを自動で取得できるツールはありますか?
AIの回答に含まれた参照先を、検索順位のように誰でも同じ条件で一覧取得できる公開の仕組みは用意されていません。回答が毎回揺れることとパーソナライズされることも重なるため、この領域はどのツールにとっても取りにくい部分です。定点質問を決めて記録していく方法が現実的な代替になります。
サーチコンソールでAI検索からの表示は確認できますか?
サーチコンソールが示すのは検索結果でのクエリ、表示回数、クリック、インデックスの状況です。AIの回答の中で自社がどう扱われたかという情報は含まれません。AI検索サービスからサイトに人が来た場合はアナリティクスの流入元として判別できることがありますが、誰もリンクをたどらなければ記録は残りません。
ツールを導入する前にやっておくべきことは何ですか?
自分のサイトが機械的な項目をどこまで満たしているかを、先に一度確認しておくことです。この土台が欠けたままツールを増やしても、出てくる指摘を打ち手に変えられません。手作業では追えない項目が出てきた時点で、その項目を埋めるためにツールを足すのが無理のない順番です。